はじめに
「小説の書き方本の紹介はたくさんあるけれど、実際に小説を書くのに役に立った本が知りたい…」
管理人も、小説を書き始めたばかりのときにはいろいろな記事を読み漁って「小説の書き方本」を探しました。しかしいまひとつ、自分のレベルや書きたい方向性にあわせた本を選ぶのは初心者にとっては難しく、実際に買って読んでみたけれど自分にはあわなかった…ということも少なくありませんでした。
そこでこの記事では、管理人が小説らしきものを書けるようになるまで、参考にしてきた本をご紹介します。
悩み①これから小説を書いていきたいけれど何から手をつければいいかわからない
「物語」のつくり方入門 7つのレッスン
まだひとつも小説というものを書いたことがない頃に、小説あるいは物語の書き方について初心者向けかつ網羅的に書かれた本を探していたときに見つけた本です。
この本からは単純なできごとを説明する文章と物語との違い、物語をつくるうえで必要な「プロット」という概念を学びました。
小説入門書としてはかなり有名で、ロングセラーしているもののひとつです。同じシリーズの本で『「物語」の組み立て方入門 5つのテンプレート』『「物語」の魅せ方入門 9つのレシピ 』もありいずれもおすすめです。
出版社 : 雷鳥社
発売日 : 2012/5/31
単行本(ソフトカバー) : 224ページ
定価 : 1,500円 + 税
新版・小説を書きたい人の本
『「物語」のつくり方入門 7つのレッスン』を読んだあと、さらにその知識を補強するようなかたちで読みました。入門書としてはいずれも初心者に必要なことが網羅的に書かれていると思うので、まずはどちらか一冊読むのでもかまわないと思います。
巻末の「注目の作家に聞く!私の小説の書き方」では、三浦しをんさん、辻村美月さん、誉田哲也さんの小説の書き方が紹介されているのがポイントです。
出版社 : 成美堂出版; 新版 (2013/9/13)
発売日 : 2013/9/13
単行本(ソフトカバー) : 191ページ
定価 : 1,100円 + 税
悩み②物語や小説のつくり方の基本はわかったけれどうまく書けない
テンプレート式 超ショート小説の書き方
小説入門書はひととおり読んでみたけれど、そもそも長い文章を書くこと自体が初心者にとっては難しいもの。こんな話を作ってみたいというなんとなくのイメージがあっても、書き出してみるとなんだか違うような気がしてしまう。書いては消し、書いては消し…と、気づけばまったく書けていない!そんな頃に見つけたのがこの本でした。
超ショート小説を何度も書く練習をすることで、小説の「型」のようなものが身につきます。
この本では、その「型」をテンプレートとして紹介してくれているので、はじめはそれにあてはめて書けばいいだけなので簡単です。型にそっていろいろなアイディアを試すことができるのも楽しい。
出版社 : 総合科学出版
発売日 : 2019/7/2
単行本(ソフトカバー) : 224ページ
定価 : 1,400円 + 税
悩み③小説家の教える小説の書き方を学びたい
マナーはいらない 小説の書きかた講座
三浦しをんさんによる小説の書き方講座です。
いろいろな入門書を読んでいくうちに、小説のしくみのようなものはなんとなくわかってきたけれど、実際に小説を書いている人は具体的にどうやって書いているんだろうと思い、作家さんの書かれた小説の書き方本を探したところ、この本に巡り合いました。
入門的なところももちろんですが、「小説ってこういうふうに書かなくちゃいけないのかな」という先入観を取り除き、小説を書くことに対する勇気をもらえる一冊です。
出版社 : 集英社
発売日 : 2020/11/5
単行本 : 272ページ
定価 : 1,600円 + 税
小説講座 売れる作家の全技術~デビューだけで満足してはいけない~
『新宿鮫』などで知られるエンタメ系小説で有名な大沢在昌さんの小説の書き方本。サブタイトルで謳われているいるように、小説を書くだけでなく小説家としてデビューした人に向けて書かれています。
小説家にとっては作家デビューがスタートライン。デビューした後の方が、長くたくさん書いていかなければならないという覚悟を問われるような一冊でした。
出版社 : 角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日 : 2012/8/1
単行本 : 379ページ
定価 : 1,600円 + 税
書く人はここで躓く!作家が明かす小説の「作り方」
芥川賞作家である宮原昭夫さんによる小説の「作り方」の本です。宮原昭夫さんは、『コンビニ人間』などで知られる村田沙耶香さんの師匠でもあり、村田さんもたびたびこの本を紹介しており、村田さん自身が芥川賞作家となった今でも読み返すことがあるそうです。
「ファーストシーンは後に書け」「十作って一書け」など、具体的に指南してくれます。
出版社 : 河出書房新社
発売日 : 2016/12/21
単行本 : 201ページ
定価 : 1,500円 + 税
書きあぐねている人のための小説入門
芥川賞作家で『猫に時間の流れる』『この人の閾』『プレーンソング』『草の上の朝食』などの著作がある保坂和志さんによる小説入門です。ふつうの入門書とはまったく違い、保坂さんらしいリズムと文体で書かれており、いつの間に保坂ワールドに沼ること間違いなしです。
小説だけではなく、創作をする人にはぜひ読んでほしい一冊です。
出版社 : 中央公論新社
発売日 : 2008/11/25
文庫 : 356ページ
定価 : 667円 + 税
悩み④小説はどうあるべきなのか?歴史の流れの中の小説を知りたい
批評理論入門―『フランケンシュタイン』解剖講義
英文学者の廣野由美子による批評理論の入門書です。
小説を書いていくうちに、そもそも小説というものが歴史の中でどのようにとらえられてきたのかが知りたくなり手に取りました。漠然とした感想文のレベルを超え、作品の構造やテーマ、世界観を分析し、整合的な議論を構築する「批評」の入門書です。
これまでの読書よりもさらに、深い「読み」へと導いてくれる一冊です。
出版社 : 中央公論新社
発売日 : 2005/3/25
新書 : 258ページ
定価 : 820円 + 税
小説読解入門 『ミドルマーチ』教養講義
同じく廣野由美子さんによる著作で、『批評理論入門』の姉妹本です。批判理論入門を読んだ方は、ぜひこちらもおすすめです。
出版社 : 中央公論新社
発売日 : 2021/4/19
新書 : 273ページ
定価 : 900円 + 税
世界文学を読みほどく
『世界文学全集』なども編纂されている池澤夏樹さんによる著作で、2003年9月に京都大学文学部で行われた夏季特殊講義の講義録です。
大御所作家ながら、「文学についてアカデミックな訓練を受けていない」という池澤さん。スタンダールやドストエフスキーといった世界文学の作品から、読書を通して抽出した原理をご自身のなかで変換し作品に活かしているといいます。
出版社 : 新潮社
発売日 : 2017/3/24
単行本(ソフトカバー) : 463ページ
定価 : 1,950円 + 税